Q:日々の生活の中で、より効率よく、賢く、優れたパフォーマンスを出すには、どのような種を植えたらいいでしょうか?
A:ギリシャでは、「卓越性の追求」という言葉があります。 どうすれば賢く、優れた人間になれるかを考えるなら、歴史の中で最も賢い人物の一人である龍樹菩薩の著書『六十如理論』には、「始めも終わりもない」と記されています。
この言葉をどう受け止めればいいでしょうか?
私たちの知能は誰もが生まれつき決まっており、知識は家庭や学校で後天的に習得するものだと一般的には思い込んでいます。しかし、本当にそうなのでしょうか。
龍樹菩薩の「物事の始まりがない」とは、一体どういう意味でしょうか。「ペンストーリー」の例で言えば、目の前のペンに対し、人にはペン、犬にはおもちゃに見えます。 もしその人と犬が、ペンの部屋から離れた瞬間、その「ペン」は、ペンでもおもちゃでもなくなります。 これは「空(くう)」、龍樹菩薩の最も有名な思想です。
ペンの話に戻りますが、元々「ペン」自体は何の意味も与えられていないので、見る人によって、それぞれの意味が与えられ、何になるかは変わって行きます。
もし、「なぜペンに見えるのですか」と龍樹菩薩に聞いたら、 「最初からペンであったわけではなく、あなたの意識の中に植えた種から生まれたのだ」と答えるでしょう。 そこがポイントです!ペンの正体は私たちの意識の種から来ているのです。
イメージでお伝えするならば、ある種があなたの意識の中で開き出し、目の前にある物体に被り覆い、その物体をペンに変えるのです。私たちの知恵も同様です。種が意識の中で開き、自分は賢いのか、そうでないのかが見えてくるのです。
私たちがペンを見ているのに、犬がそう見ていないのは、以前私たちはペンについて、誰かにシェアしたことがあるからです。 私たちは何かを経験する度に、意識の中に種が植え付けられるのです。 「過去に誰かにペンを共有したことがある」という意識の種があれば、それが開くことで、「ペンの図面」が意識の中から「現実世界」に投影され、ペンというものになるのです。それに対し、犬の意識には私たちとは違う図面があるので、犬は、噛むおもちゃとして見えるのです。
他人のクリエイティブなアイデアを喜ぶ
私たちの考える力、知恵、あるいは瞬間的な思いそのものは、すべて意識の種から来ているのです。 もともと知恵があったとしても、年齢の増加やアルツハイマーのような病気のせいで、知恵を失ってしまう人もいます。 なぜこのようなことが起こるのでしょうか。 それは、かつて他人に何かをシェアしたり、助けたりすることによって植えられた種をすべて使い切ってしまったからです。種は開いた後に、燃え尽きてしまうのです。そのため、種が無くならないように、植え続けなければなりません。私たちはペンを見るたびに、そのペンの種を消費していることになるのです。 実は、ペンを使い切るのはインクではなく、種です! これこそが龍樹菩薩が後世の人々に伝えたかったことなのです。
もし知恵を深めたいと思うならば、実践的な方法をご紹介します。 『六十如理論』の最初の節では、「賢者の知恵を称賛し、賢者が種の教えを説いていただけることを喜ぶ」と記されています。 龍樹菩薩はこれを「縁起」と呼びます。 知恵は創造力でもあり、創造力の主な種は他人の良い発想や考えを心から喜ぶことです。
逆に、他人の良いアイデアを妬むと、知恵が働かなくなります。知恵を深めたいなら、具体的な実践法として、他人の発想やアイデアを心から喜んであげることです。
競争思考を協力思考に変えよう
戦いや競争は最終的にはうまく行きません。 私たちの競争思考は間違っているのです。 カルマ指数「KQ(Karma Quotient)」というのは、種の法則を理解したうえで、それを日常生活に持ち込み、競争相手を逆に助け、成功させようとする生き方を意味します。
カルマ指数について考えると、いつの間にか意識がよりオープンになり、人生がより円満になります。 他の人のカルマ指数(KQ)を上げる手助けをすることで、私たちの知恵も深まるのです。物事の深層にある原因を掘り下げて考える習性を身に付けると、あらゆる問題を賢く解決することができるのです。年を重ねたとしても、脳は衰えず、知恵は年齢とともに成長することができるのです。 ゲシェマイケル先生の著書『ダイヤモンドの知恵』には、「分かち合う(シェアする)」という概念が強調されています。知恵を多くの人に伝え、シェアすれば、たくさんのいい種を植えることができるというのです。 ですから、カルマ指数(KQ)をより深く考えることで、それがどのように私たちを助けてくれるのかがわかり、さらにこの知恵をより多くの人に伝えたいと思うようになるのです。
私たちにできること
1.知恵を深める方法は、他人のいいところを見つめ、心より喜んであげることです。
2.種や空の意味について深く考え、それを周りに伝える(シェア)ことです。
「完璧でなくても、できることを分かち合いましょう」という龍樹菩薩の言葉のように、 誰もが完璧ではなく、また完璧な一日も存在しませんが、できる限りのことを行い、知恵をシェアしていきましょう。
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